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2023年8月25日金曜日

チームを支える栄養のスペシャリスト



普段はあまり目立たないながらも、食事という身体の基本からチームを支えるモナ・ネマー女史。

ドイツ代表お抱えシェフ兼栄養士


スポーツに関する栄養学の修士号と調理師免許を持つ彼女がフットボール界でのキャリアをスタートさせたのは2009年のこと。

スタートはU-21ドイツ代表をはじめとするアンダー世代やドイツA代表のシェフや栄養士を務めたのち、2013年に当時ブンデスリーガを3連覇しながらも、更なる改革を求めたペップやクラブ上層部の要請によってバイエルンに加入。

シェフや栄養士のチームに加わると、その人柄やドイツ代表でも活動していたことから選手たちからもすぐに受け入れられた。

当時所属していたファン・ブイテンは『彼女の話を聞くのが好きなんだよ。何歳になっても常に向上できるんだ。』、キルヒホフは『モナはオープンで温厚な人柄で、僕らと凄く仲良くしてくれるんだ。』と話している。

また、彼女の加入によって内科医のローランド・シュミット氏と連携し個別にアドバイスを行うなどの変更も為されたほか、ジュニアチームの若い選手に早い段階で栄養を意識してもらうため、そして彼らに最高の条件を作り出すことに決定的な役割を果たすだろうと期待されていた。


選手たちの母親


2016年7月、栄養部門の責任者としてリバプールに加入すると、バイエルン所属時と同様に重要な役割を果たすことに。

加入から半年足らずでクロップが選手たちの母親と呼ぶ彼女は、責任者に就任してからチームの食生活に多くの変更を加えてきた。
ピッチのどこでプレーしているかによってエネルギーレベルは異なり、ゴールキーパーはミッドフィールダーほど走る必要はありません。

ですが、ブラジル人選手にはイギリス人選手とは異なる朝食スタイルがあります。

全てが異なる文化、体型、ポジションによって分かれていて、タンパク質を重視する選手がいれば、ミネラルや電解質を必要とする選手もいます。
年齢や民族、身長や体重、その他にもアレルギー、代謝率、体脂肪率などに基づいた選手個々に必要な食事プランを作成し、更には唾液、血液、尿、便のサンプルやトレーニングデータを分析し、調整が必要かどうかを確認。

そのうえでコーチング、フィットネス、メディカル部門と連絡を取り合い、クラブのシェフと協力して、オーガニックで旬の、できれば地元産の最高の食材を調達する。

いつも手早く食べてすぐに帰っていた選手たちが長居し、会話をしながら食事の選択に時間を掛けるようになった。
最初にここに来た時、基本は整っていたのでゼロから始める必要はありませんでした。
私たちの哲学は、既にあるものを使い、リスペクトし、少しずつ広げ、改善し、革新し、作り上げていくこと。

栄養というのは現在進行形の新しい分野であり、多くのことをやってきたけど、まだまだやれることはたくさんあります。

土曜 - 水曜 - 土曜と試合があるのか、土曜 - 土曜?アウェイゲームだけ?
メニューに関しては考慮すべき要素がたくさんあって、全て選手のニーズに応えられるようにしています。
カービーの食堂にはバターミルクチキン、肉の代わりに野菜を使用するヴィーガンボロネーゼ、LFCトマトスーゴなど、彼女が考案した多くの人気メニューがあり、大豆ヨーグルトにグラノーラやベリーが混ぜられた "9:30" もその1つ。
シーズン中に時間がない時にリカバリーをサポートし、補給を手助けする夜食とした午後9:30に提供していたことから名付けられましたが、朝食にする選手もいます。




きっかけはクロップからの連絡


当時、クロップはリバプールの監督としては初めてのフルシーズンを迎えるにあたり、クラブ内の栄養管理に革新をもたらせる存在を求めていた。
ドイツににいた時はモナのことを知らなかったけど、彼女の評判を耳にした。

プロアスリートに対する栄養学の大切さは明確になってきていたし、リバプールに対するベストな存在がほしかった。

世界中の選手、コーチ、監督に尋ねたら、同じ言葉が返ってきたんだ。『モナ!』と。
誰もが推薦するモナ・ネマーに連絡を取ったクロップだが、この連絡がリバプールのその後を大きく変えることに。
バイエルンで働いていた時、ユルゲンを個人的に知っていたわけではありません。

彼の代理人から『ユルゲンが君と話したがっている。』と連絡があり、イエスと答えたあとに彼が直接連絡をくれて、想像していた以上に長く素晴らしい会話をしてから『どこかで会う約束をできないか?』と言われました。

そうして私たちは直接会い、最初に会った瞬間から『リバプールで何を達成できるか』についての会話に双方から火がついたのです。

私をここに連れてきてくれた恩人なんです。


周囲の評価


彼女の自著本発表時、彼女の影響力を問われたクロップは次のようにコメント。
計り知れないね!

今まで仕事をした中で、モナが最高の栄養士だよ。
彼女としか仕事をしたことないからね。

彼女に会った時、最初の瞬間から本当にとても嬉しかった。
知識にも情熱にも溢れている、完璧なミックスなんだ!

プロチームのような環境で最も難しいことは、そもそも選手が嫌がるようなもの、『あれは食べられない、これも、それも』というもので納得させること。

そのためには人格が必要であり、3〜4週間経つとモナと1対1で話す場面をあちこちで見かけるようになったと思うし、それが大きなスキルセットなんだ。

この本が終わりではなく、出発点でもある
モナは止まらないだろうから、我々も進んでいくだろう。

正直に言って、この本はリバプールファン以外も必携のものだと思う。
このような本は世界中探しても見つからない。

本について言うのは本当に難しいけど、この本は別格だよ。
ファン・ダイク
モナとシェフは我々の成功に大きな役割を果たしてくれた。
ジョー・ゴメス
何をいつ食べるかについての理解がとても深まった。
アンディ・ロバートソン
モナは素晴らしい仕事をしているし、とても優れた人物だ。


A Taste of the Liverpool Way: Recipe For Success


2021年9月30日に出版されたモナ女史による著書。

トレーニング場の舞台裏やリバプールでのお気に入りのメニューなどについて書かれており、Amazonでは『料理本ではないがレシピも載っていて、栄養のための優れたガイダンス』、『準備と知識の量による優れた洞察力。よく図解され、よく整理された資料で読みやすい。』といったレビューが為され、5点満点で4.7点の高評価を得ている。

英語版とドイツ語版しかないが、関心がある方は下の画像をクリック or タップ。




引用元・参考


記事をまとめるにあたり、下記の記事やウェブページを引用元・参考とした。

Liverpool FC公式 → Jürgen Klopp: Why I love the work of Mona Nemmer
The Athletic → ‘We have so much information about our players, we know them inside out’ – Liverpool’s head of nutrition Mona Nemmer
GOAL → Klopp's best signing? How Liverpool found the recipe for success with 'transformative' Bayern Munich appointment
New York Times → New Head of Nutrition Gives Liverpool a Taste of Premier League Success
Liverpool Echo → 'Jurgen would love to talk' - Exclusive interview with Liverpool signing who transformed the whole squad
Bayern Munich公式 → Ernährungsberaterin Nemmer verstärkt FCB



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