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2023年8月23日水曜日

ルイス・ディアスの出自



プロキャリアスタートまで


コロンビア北部やベネズエラ北部に居住する先住民族ワユ族の生まれであり、出身地のバランカスは人口の半数以上がワユ族で構成されている。

植民地時代以前、バランカスの街があるラ・グアヒーラ県には多くの先住民族が居住しており、鉱脈などの資源を求めて海を渡ってきたスペインやフランスの探検家たちの支配に対して最も反対したのがワユ族。

但し、コロンビア国内でも貧しい地域にあり、ラ・グアヒーラ県全体で2008年から2013年の間に4,151人の子供が亡くなっており、そのうち278人は栄養失調、2,671人は生後数日から数ヶ月の間にかかった病気が原因、更に1,202人は死産とされる。

また、多くのワユ族の赤ちゃんが出生登録されていないため、この数字は少なく見積もっての数字であるとされている。

ルイス・ディアスも恵まれた環境で過ごしてきたとは言えず、2015年にワユ族がコロンビア史上発の先住民族によるフットボールの大会に参加した際、チリで行われる国際大会に向けた先住民族チームのためのタレント発掘を任されていたコロンビア代表レジェンドのカルロス・バルデラマ氏がコロンビアメディア Revista Semana にて下記のようにコメント。

瘦せこけて、大柄で、明らかに栄養失調の男を見た。

バランキージャで調査を行ったところ、確かに栄養失調の様子が見えたが、我々と一緒にいたときに最もよく食べていたのが彼で、4~5回は食べていた。

それが当時の体質だった。

しかし、同じくこの大会に参加し、優秀な攻撃的MFと評価されていたルイス・ディアスの親友ダニエル・ボリバル氏は『スポーツのない街では、バルデラマを感動させることがモチベーションになった。』とコメントするなど当時の彼らのモチベーションは高く、実際にバルデラマ氏の前で印象的なプレーを披露した彼らは選抜チーム入りを果たす。

画像:SPORT SPORT より引用




プロキャリアのスタート


親友ダニエル・ボリバル氏はフットボーラーとしてのキャリアを断念したが、ルイス・ディアスはバルデラマの計らいもあってトライアルを経てアトレティコ・ジュニオールに入団。

2016年にアトレティコ・ジュニオールの提携クラブである2部バランキージャで体重を10kg増加させ、2017年にアトレティコ・ジュニオールに復帰すると才能が開花し始めてU-20コロンビア代表に召集され、翌2018年には全コンペティションで59試合16ゴールの成績を残したこともあってコロンビアA代表デビューを果たす。

2019年7月にはポルトと移籍金700万ユーロの5年契約を結び、バルデラマに見出されて4年でヨーロッパへ進出。

当初、ゼニト・サンクトペテルブルクへ移籍する可能性やカーディフ・シティとの事前合意があったものの、同胞ラダメル・ファルカオやハメス・ロオドリゲス、コロンビア代表監督だったカルロス・ケイロス氏の説得もあってポルトを選択。

初年度19/20シーズンは50試合14ゴールの活躍を披露し、翌20/21シーズンはリーグ戦最初の6試合で5ゴールを挙げ、11月のヴィトーリア・ギマランイス戦で決めたゴールは月間最優秀ゴールに選出された。


12月にも4ゴール3アシストの成績を残し、2か月連続で月間最優秀選手に選出されたのを置き土産にしてリバプールへ加入。

実質半年しかプレーしていなかったにも関わらずプリメイラ・リーガ7位となる14ゴールを記録し、シーズン終了後にはリーグ優勝を果たしたポルトからメダルを受け取っている。


ワユ族史上初のコロンビア代表選手


上にも書いた通り恵まれているとは言えない環境。

若者のほとんどが鉱山関連の多国籍企業で働く以外に選択肢がなく、裸足のまま街の通りでプレーする姿をよく見ていた叔父イェルキス氏は『石ころや穴、そしてただの地面でコントロールして走るのは難しい。多くの若者が夢を諦めてきた。』と話す。

そんな中でヨーロッパ随一のビッグクラブでプレーするまでにのし上がった彼は家族にとって誇りであり、遠く離れた街からリバプールのウィングを駆け回る姿を見て興奮している。

スターの多くが太平洋沿岸のアフリカ系移民であるコロンビアスポーツ界において先住民族が代表レベルまでになることは珍しく、ルイス・ディアスはワユ族史上初のコロンビア代表選手である。

南米フットボールを専門とするジャーナリストのサイモン・エドワーズ氏は、不安定な環境から抜け出して成功を収めたことを奇跡と表現。

また、最近では2011年と2015年に旱魃に襲われて作物が成長しないなど変わらず難しい環境ではあるものの、ルイス・ディアスの成功を受けたことでバランカスの自治体が人工芝ピッチの建設に取り組み始めている。

とは言え、水道が使えないことも多いこの街では天然芝の育成は不可能であることが理由と、厳しい状況であることに変わりはない。


周囲の希望


2021年のコパ・アメリカでメッシと並んで得点王となり、帰郷の際に街全体から大歓迎を受けたルイス・ディアスは自身のプレースタイルについて『自分のルーツ、育った場所を示している。』とした。

周囲の関係者も彼の存在や役割を賞賛。

-ワユ族のスポークスマン、ハビエル・ロハス・ウリアナ氏

テレビの電波が届けばどこだって、私たちは誇りを持ち、世界最高のチームのジャージを汗で濡らすだろう。

このタワラ(現地語で兄弟の意)は、恐らくは私たちにとって最も偉大な模範であり、ミドル・グアヒーラやアッパー・グアヒーラ保護区のツアーで最も話題にする人物でもある。

謙虚さ、規律正しさ、粘り強さを備えた彼の努力は、若者たちに夢を与えて戦わせてきた。

彼は壊滅状態にあったその強さ、その精神を復活させている。
この地域には多くの次のルイス・ディアスがいて、彼らは支援と機会に飢えている。


-FCラ・グアヒーラのDFデニウソン・プシャイナ

彼をテレビで見て、自分もあそこに行けるのかもしれないと思うと凄くモチベーションが上がる。

多くの人がワユ族や先住民族の文化に注目している。



出典・引用


この記事をまとめるにあたり、下記のメディアより情報を引用。

GOAL → Luis Diaz, il ragazzo di etnia Wayuu: dalla malnutrizione alla finale di Champions

Mundo Deportivo → Luis Díaz, de familia wayú a nuevo fichaje del Liverpool

BeSoccer → Luis Diaz: the indigenous star from Colombia's poorest community



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2023年5月8日月曜日

兄弟フットボーラー Vol.1



現在リバプールに所属しており、兄弟も選手である若しくは選手であったという選手を紹介。
Vol.1とVol.2に分けて、まずはVol.1として5人。


フィアクル・ケレハー


クィービーン・ケレハーの兄であり、現在はリーグ2のコルチェスター・ユナイテッドに所属する27歳のセンターバック。

アイルランドの地元コークのクラブでキャリアをスタートさせたのち2012年にセルティックに加入し、2016年にはファーストチームに昇格するも出場機会は無し。

その後はイングランド下部リーグを渡り歩いており、オックスフォード・ユナイテッドに所属していた17/18シーズンや18/19シーズンのリーグ1(3部)が最も高いディビジョン。

レクサムを経て加入したブラッドフォード・シティでは11試合にしか出場できなかったが、2023年1月に加入したコルチェスター・ユナイテッドでは21試合中18試合に出場するなど地位を確立し、ディフェンスの中心であると評価されている。


ヘスス・ディアス


ルイス・ディアスの弟であり、コロンビア2部バランキージャからポルトBへローン移籍中の18歳のストライカー。

コロンビアのバランカスで生まれ、兄ルイスの古巣であるバランキージャに所属していた16歳の時にプロデビューすると、13試合に出場して2ゴールを挙げた。

2022年7月、こちらも兄ルイスの古巣であるポルトに購入オプション付ローンで加入。

ポルトには、兄ルイスをはじめとしてファルカオ、グアリン、ハメス・ロドリゲス、ジャクソン・マルティネスらコロンビア人選手が多く所属していたものの、加入時には『自分は自分の道を進みたい』とコメント。


ラフィーニャ


チアゴ・アルカンタラの弟であり、現在はアル・アラビに所属する30歳のミッドフィールダー。

兄チアゴと同じくバルセロナ下部組織で育つも出場機会が少なかったためセルタやインテルへのローン移籍を経験し、特に17/18シーズン後半にローン移籍したインテルでは残留を望むも移籍金がネックとなり購入オプションが行使されず。

2020年に加入したPSGでは20/21シーズンこそ23試合に出場したが、21/22シーズンは殆ど出場機会を得られず、2022年9月にカタールのアル・アラビ・ドーハへ完全移籍。

2010年までは世代別のスペイン代表だったが、2013年にU-20ブラジル代表に選出され、2015年にはブラジルA代表デビューを果たした。


ラフ・ファン・デン・ベルフ


セップ・ファン・デン・ベルフの弟であり、現在はズウォレに所属する18歳のセンターバック。

兄セップと同じくズウォレで育ち、周囲の評価もセップと同じく高く、14歳の頃にはアヤックスやPSVなどへの移籍が噂された。

15歳でファーストチームのキャンプに参加すると、2022年5月1日のフィテッセ戦にて兄セップの16歳21日に次ぐクラブ史上2番目の若さとなる16歳289日でファーストチームデビュー。

2023年4月後半にはローマからの関心が伝えられ、メディカルチェックを受けたとも報じられたがオランダの地元メディアが否定している。


マーヴィン・マティプ


ジョエル・マティプの兄であり、主にインゴルシュタットで活躍した現在37歳の元選手。

ポジションが弟ジョエルと同じセンターバックなら、SCヴァイトマール45からボーフムへというキャリアも同じで、2000年にジョエルがシャルケに加入するまで共にプレーした。

ボーフムのファーストチームで1試合プレーしたのちにケルンに渡り、2010年から所属したインゴルシュタットでは約280試合に出場し、2019年に引退。

20/21シーズンにインゴルシュタットに本拠地を置くSVフンツツェルに所属した記録はあるが詳細は不明で、現在はインゴルシュタットのマーケティング・マネジメント部門の一員。



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2022年5月11日水曜日

ルイス・ディアスの古巣が移籍金支払いの遅延を指摘



ルイス・ディアスの移籍金を巡り、古巣ジュニオール・バランキージャがポルトを提訴したとの報道。

要約すると、リバプールから支払われた移籍金の一部を受け取る権利があるが未だに支払われていないというもの。

いくつかの記事を引用してまとめているため、元記事の紹介は最下部にて。




2022年5月6日金曜日

【Olé】ルイス・ディアスがリーベル・プレートに加入しなかった本当の理由



1月の加入から難なくフィットし、ビジャレアル戦でも途中出場し逆転勝利に貢献したルイス・ディアス。

トッテナムも獲得に迫っていたことは知られた話ですが、アルゼンチンメディア Olé によるとコロンビアでプレーしていた頃にアルゼンチンの名門リーベル・プレートに加入する可能性があったようです。

元記事はこちら → La verdadera historia de por qué Luis Díaz no llegó a River




2022年2月22日火曜日

【Telegraph】リバプールが優勝争いに復帰した4つの理由



マンチェスター・シティがスパーズに敗れたことで1試合少ない状態で6ポイント差、しかも直接対決を残すという状態になった優勝争い。

リバプールが優勝争いに踏み止まれた4つの理由を紹介する Telegraph の記事(著者クリス・バスコム氏)の和訳です。

元記事はこちら → Four reasons why Liverpool are back in the Premier League title race




タイトルレースの浮き沈みは続く。

土曜日にマンチェスター・シティがホームでスパーズに敗れ、リバプールがノリッジ・シティに逆転勝利を収めたことで差は6ポイントに。

そして1試合未消化である。

クリス・バスコム氏は、直近の全コンペティションの8試合で勝利しているユルゲン・クロップ監督のチームが復活を遂げた要因について考察している。

2022年2月10日木曜日

【Blu Radio】インタビュー:ルイス・ディアスのお父様



コロンビアメディア Blu Radio による、ルイス・ディアスのお父様ルイス・マヌエル・ディアス氏のインタビュー(抜粋)の和訳です。

元記事の文字に起こされた一部分のみの和訳ですが、最下部まで行くとインタビュー音声を聞くことができます。

元記事はこちら ⇒ “Fue recibido con bombos y platillos”: padre de Luis Díaz




ルイス・マヌエル・ディアスは息子がリバプールに加入したことの幸せを隠すことはしない。


特に監督やマネージングチームから盛大に迎えてもらったよ。たくさんの愛情で受け入れてくれた。彼らはチームにたくさんのものをもたらす選手を獲得できたと分かっているんだ。

2022年2月4日金曜日

【Jornal de Notícias】一息ついたポルト、だがまだ売らねばならない



ポルトガル・メディア Jornal de Notícias によるポルトの財政状況に関する記事の和訳です。

元記事はこちら ⇒ SAD portista respira melhor mas tem de voltar a vender




2021年10月、ポルトのフェルナンド・ゴメス氏は21/22シーズンの予算では少なくとも€5000万のキャピタルゲインを見込んでいると明かした。

ルイス・ディアスの退団は、この見込みの半額ほどを生み出すことになる。