前々から噂はあったものの、ここ数日になって大きく騒がれ始めたクラブ売却話。
ドバイやらバーレーンやら様々な話が出ている中、現時点での報道をまとめてみました。
元記事や元ツイートを各見出しの本文中のメディア名や記者名にリンクさせていますので、確認したい方はそこをクリックしてください。
何故今なのか
11月8日付のThe Athleticによれば、スーパーリーグ構想が軌道に乗っていれば売却を考えていなかったはず。
来夏には8,000万ポンドのアンフィールド・ロードスタンドがオープンして収容人数は61,000人にまで増加、更にカービーに建設された5,000万ポンドのトレーニング施設も加わり、クラブのインフラには巨額の投資が行われた。
今季の厳しいスタートはボストン(FSGの本部所在地)とカービーの両方に対し、大規模な再建が目前に迫っていること、そしてそれは決して安いものではないことを知らしめた。
チャンピオンズリーグ出場権がなければ尚更難しくなり、FSGが新たな投資を求めているのも無理はない。
その新たな投資が少数株主持分の売却という形でもたらされるかもしれないが、彼らは完全な売却にも前向きである。
この問題に関するFSGのこれまでの声明は、常に「リバプールは売り物ではない」という注意書きが添えられていたが、しかし今回は違う。
適正価格であれば、手を引く用意がある。
現在のクラブ評価額
The Athleticや世界の金融ニュースを取り扱うBloombergが11月7日に報じたところによると、FSGは世界有数の金融機関であるゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーの協力を得て買い手の関心を調査中。
但し、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーともにコメントを拒否。
The Athleticは記事中にFSGの声明を掲載。
最近、プレミアリーグクラブで所有者の変更や噂が多く、必然的にFSGもリバプールの所有権について定期的に質問されるようになりました。
我々はリバプールの株主になりたいと希望する第三者からの意思表示を頻繁に受けています。
以前から、適切な条件の下でリバプールの利益になるのであれば新たな株主について検討すると言ってきました。
我々はピッチの内外を問わず、リバプールの成功に全力を尽くしています。
また、Bloomberg曰く、FSGが2010年にヒックス&ジレットからリバプールを購入した時の金額は3億4,400万ドルだが、高いレベルの選手の存在はもちろんのこと、30年ぶりのリーグ優勝やCLや国内カップ戦制覇、アンフィールド拡張や新たな練習拠点などによって現在の価値は大幅に上昇。
調査会社Global Dataのアナリストであるコンラッド・ウィアチェク氏は、50億ドル以上であると予想していると報道。
FSGの要求額
11月8日付のTimesは、アメリカの金融筋からの情報として、FSGが聞き入れるのは30億ポンド以上からと報道。
声明の『我々はピッチの内外を問わず、リバプールの成功に全力を尽くしています。』という部分について、FSGはすぐに売却する計画はないと強調しているとしつつ、先月に関心を示す関係者に対して案内書のようなものが配布されており、それは更なる資金の調達に留まらず、適正価格での売却にまで及ぶ可能性があるというメッセージが伝えられていると主張。
更には今年チェルシーを買収しようとした関係者はリバプールが売りに出されていることを認識していると述べており、チェルシーにオファーを出したコンソーシアムのある幹部は『30億ポンド以上でなければならないと案内されている。』と語ったとも主張。
また、同紙はリバプールが2022年5月に経済誌フォーブスによって38億9000万ポンドと査定されており、購入時の金額3億ポンドを考慮すれば30億ポンドを超えれば良い取引と言えるとした。
買い手候補
アメリカ説
上の項目でも引用した11月8日のTimesによると、ファンの多さから中東や極東からもオファーが来る可能性はあるが別のアメリカ人オーナーとなる可能性が高い。
更に11月7日付のTimesによると、チェルシー購入にも関心を示していたアメリカの企業やグループがリバプールにも関心を示している。
元ブリティッシュ・エアウェイズ会長のサー・マーティン・ブロートン氏が率い、投資家マイケル・クライン氏が支援するグループで、2010年にクライン氏の支援を受けたブロートン氏が会長に就任してFSGへの売却を実現させたというリバプールとの強い関連がある。
こういった関わりからブロートン氏の人気が高い可能性があり、更にクライン氏はイギリスの銀行システムが破綻に直面した2008年の金融危機で当時のブラウン首相に助言をした人物でもある。
アメリカ or MENA説
CBS Sportsのベン・ジェイコブス氏による、リバプール売却に関する一連のツイートの中から
US and MENA based investors do have a genuine interest in Liverpool. FSG have rebuffed advances in the past. They clearly would sell, though, if an attractive offer is tabled and do so at a healthy profit.
— Ben Jacobs (@JacobsBen) November 7, 2022
米国と中東(及び北アフリカ/Middle East & North Africa)を拠点とする投資家は、リバプールに純粋な関心を持っている。
FSGは過去にその誘いを跳ね除けたことがある。
しかし、明らかに魅力的なオファーが提示され、大きな利益を得ることができるなら売却するだろう。
ドバイ説
TimesやGuardianなどに寄稿しているジャック・タルボット氏のツイート
Investors in Dubai could be eyeing up a second $5b bid for Liverpool after seeing a £3b bid rejected last year, reports ArabianBusiness.
— Jacque Talbot (@jac_talbot) November 8, 2022
Arabian Businessは、昨年30億ポンド(約4,980億円)の入札を拒否されたリバプールに対し、50億ドル(約7,300億円)の2度目の入札を視野に入れている可能性があると報じている。
RedBird Capital説
11月8日付のMirrorには、Financial Timesを引用する形で少なくとも1つの買い手候補からアプローチを受けたと書かれており、RedBird Capitalも可能性がある候補の1つと書かれている。
RedBird Capitalは2021年2月にFSGの株式の10%を取得した投資グループで、オーナーのジェリー・カーディナル氏はFinancial TimesのBusiness of Sport US Summitにて
我々はそれ(リバプール購入)をゴールとして引き受けたわけではない。
(リバプールを所有することは)特別なことであるため完全に排除することはないが、現在の所有者の素晴らしい手腕が発揮されていると思う。
我々は出来る限りサポート役に徹するが、オーナーや経営陣の全てが驚異的なチームである。
とコメント。
また、同紙の11月7日付のMirrorは、バスケットボール界のレジェンドであり、11年前にリバプールの株の2%を購入したレブロン・ジェームズがRedBird Capitalのパートナーとして手を組む可能性もあるとしている。
Bain Capital説
11月9日付のDaily Starは、こちらもやはりチェルシー購入競争に参加していた元バーガーキング・グループ会長のスティーブン・パリュウカ氏が共同オーナーを務めるBain Capitalも候補と報じた。
同氏は2002年から2009年まで会長を務めたバーガーキング・グループを黒字転換に導いたほか、アタランタの株式の55%を保有し、NBAのボストン・セルティックスの共同オーナーでもある。
更には1190億ポンドの資産を運用していると主張し、これはマンチェスター・シティのオーナーであるシェイク・マンスール氏の170億ポンドを上回る。
FSGとも親交があり、候補の1つに挙げられた。
スティーヴ・バルマー説
買い手候補を紹介する11月12日付のLiverpool Echoにて名前が挙がったアメリカ人実業家で、1980年にビル・ゲイツに誘われてマイクロソフトに入社し、2000年から2014年まで同社のCEOを務めたことで知られる。
860億ドルとされる総資産によって前述のBloombergにて世界で10番目に裕福な人物であるとされ、NBAのLAクリッパーズのオーナーとしては8年連続でスポーツ界で最も裕福なオーナーと評されている。
また、単に裕福なだけではなく、少数民族の団体への資金提供や銃規制の法整備のための寄付など、社会貢献活動の面でもよく知られた人物。
否定した・された候補
ムケシュ・アンバニ説
11月12日付のMirrorが、インドの実業家ムケシュ・アンバニ氏にも可能性があると報道。
インド最大の民間企業リライアンス・インダストリーズを率いる彼の総資産は900億ポンドとされ、経済誌フォーブスによって世界で8番目に裕福な人物とされた。
同紙は、中東やアメリカの競争相手を撃退せねばならないとしつつ、FSGが望む売却額40億ポンドという数字は大のスポーツ好きであるアンバニ氏を競争から遠ざけることはないとしており、インドのクリケット界のビッグクラブであるムンバイ・インディアンズを所有するほか、インドのフットボールリーグであるスーパーリーグ設立に貢献したことからも分かると書いていた。
但し、11月14日付のインドメディアABP Liveに彼のスポークスパーソンが一言
嘘だ。
とだけコメント。
リケッツ・ファミリー説
株式仲介業を営むジョー・リケッツや政治家ピート・リケッツらのアメリカ人一族で構成されたグループ。
MLBのシカゴ・カブスを保有していることでも知られ、11月7日付のTimesにて候補として挙げられていた。
トム・リケッツとラウラ・リケッツはチェルシー購入に関心を示し、その前はトッテナムにも関心を示していたが、一族を代表するスポークスパーソンが発表したコメントを11月14日付のLiverpool Echoが報道。
リケッツ・ファミリーは、最近売りに出されたとされるリバプールのサッカーチームに入札はしない。
サー・ジミー・ラトクリフ説
リーグ・アンのニースやスイス・スーパーリーグのローザンヌ・スポルトを保有するイギリスで最も裕福な人物として知られるが、スポークスパーソンの入札参加を否定するコメントを11月8日付のTelegraphが報道。
現在はニースに力を入れ、PSGと争えるフランスのトップクラブにするための野心を高めている。
これはプレミアリーグのトップクラブを購入するよりも、我々の投資に対して遥かに良い価値を表すだろう。
Mumtalakat Holding Company説
11月8日のThe Athleticにて中東の国バーレーン王国のグループも関心を示す可能性があると書かれていたが、CBS Sportsのベン・ジェイコブス氏は次のようにツイート。
Contrary to some reports, Mumtalakat Holding Company, Bahrain's sovereign wealth fund, are not looking into buying Liverpool. They have not expressed any interest and don't plan on doing so.
— Ben Jacobs (@JacobsBen) November 8, 2022
一部報道とは異なり、バーレーンの政府系ファンドであるマムタラカト・ホールディング・カンパニーはリバプール購入を検討していない。
関心を示していないし、そういった予定もない。
Emirates Investment Authority説
UAEの政府系ファンドのエミレーツ・インベストメント・オーソリティだが、11月14日付のLiverpool Echoによるリバプール購入の可能性を除外したグループとの記事に登場。
メンバーの1人にマンチェスター・シティのオーナーであるアブダビ・ユナイテッド・グループのシェイク・マンスール氏も名前を連ねていることが関係しているのかなど、詳細は不明。
全ての項目にメディア名やジャーナリストとの名前を記載した通り、筆者個人の意見や考えは一切反映されていません。
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