リバプールのコロンビア人といえば、今や欠かせない存在となったルイス・ディアスを思い出す方が多いと思いますが、実は他にもう1人。
2018年2月、クラブ史上初のコロンビア人選手としてフォルタレーザCEIFから加入したアンデルソン・アローヨ。
難しいキャリア
1999年9月27日にコロンビア西部の比較的貧しい地域で生まれ、15歳でフォルタレーザCEIFに加入してコロンビア2部で22試合に出場。
2016年にメキシコで行われたU-17ワールドカップを視察したリバプールのスカウトに注目され、2018年1月末に当時リバプールのトライアル・マネージャーだったフェデリコ・パシエンシアがアローヨ本人や家族と緊密に連絡を取り合い、コロンビアのトップクラブやヨーロッパクラブを退けてトライアルを経ての獲得に成功。
しかし、労動許可の問題からマジョルカBへローンに出され、これが難しいキャリアのスタートとなった。
マジョルカBとは18ヶ月のローン契約を結びながらも6ヶ月で打ち切りとなり、続く18/19シーズンにベルギーのKAAヘントとシーズンローン契約を結ぶもクラブ内の問題から1試合も出場機会を得られず。
リバプールに戻っても運気は好転せず、19/20シーズンは2019年夏のファーストチームのアメリカツアーに帯同するはずが中足骨を骨折して離脱し、復帰後にチェコのムラダー・ボレスラフにローン移籍するもオリンピックへの準備を進めるU-23コロンビア代表に定期的に召集されており、そのこともあって起用法を巡る上層部との意見の相違からシーズンを通しての出場機会は2試合のみ。
転機と少しの停滞
事態が良い方向に向かい始めたのは2020年夏。
当時ローン担当マネージャーだったジュリアン・ウォードと代理人マテュー・グロッシン氏が話し合い、まずは試合に出場することが最優先としてローン移籍先のレベルを下げ、スペイン3部サラマンカUDSへの加入を選択したことが切っ掛け。
✍🏻 | “Anderson Arroyo, nuevo jugador del Salamanca UDS para la temporada 2020-21”
— Salamanca UDS (@SalamancaCFUDS) October 5, 2020
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登録上の問題により第8節までプレーできなかったが、デビュー以降は主に本職の右サイドバックとしてチャンスを与えられ、途中出場・交代も多かったもののプロとして1シーズン通しては自己最多となる21試合に出場。
初めて成功と呼んでもいいローン移籍を経験し、続く21/22シーズンはスペイン2部ミランデスで全45試合中42試合出場とレギュラーとして大成功を収め、次のステップとして22/23シーズンは昇格争いの可能性も見込まれていたアラベスへローン移籍。
シーズンを通して5位以下にならず首位争いをしていたアラベスでは競争も激しく、リーグ戦ではフル出場をしたかと思えば次の試合は最後の10分と少しだけ、出場機会を続けて得たかと思えば控えとしてベンチに座ることが数試合続くといった状態。
コパ・デル・レイでは出場機会を与えられ、4試合全てに右サイドバックとしてスタメン出場すると4試合中3試合を1-0で勝ち上がる堅守に貢献したほか、ベスト16のセビージャ戦では敗れたとはいえ0-1の最小失点で試合を終えた。
なお、アラベスは昇格プレーオフファイナルのレバンテ戦、0-0で迎えた延長後半アディショナルタイムのPKを決める劇的な形で1年での1部復帰を確定させた。
アンデルソン・アローヨ自身は昇格プレーオフを含めて リーグ戦18試合、コパ・デル・レイ4試合でゴールとアシストはなし。
現在
つい先日、セグンダディビシオンのFCアンドラへのローン移籍が発表され、これでアカデミーですらリバプールの試合に出場しないまま7クラブ目のローン移籍。
🗣️ 𝐋𝐚 𝐜𝐢𝐭𝐚 d’Anderson Arroyo #ArroyoTricolor #SomTricolors 🔵🟡🔴 pic.twitter.com/eiwaCgG2xz
— FC Andorra (@fcandorra) July 18, 2023
FCアンドラはスペインとフランスに挟まれたアンドラ公国から越境参加しているクラブで、昨季は6位アルバセテと8ポイント差あったものの、セグンダディビシオン初挑戦ながら昇格プレーオフまであと1歩となる7位でシーズンを終えた。
元バルセロナのジェラール・ピケが株式のほとんどを保有していることでも知られている。
サラビア監督が好んで使う4-3-3の右サイドバックを、ビジャレアルBから新加入したミゲル・リールやビルバオから新加入したアレックス・ペチャと争う見込み。
本人は激化するであろうポジション争いにも前向きで、『アンドラが気に入っている。ハードにプレーして、勝負に出ていくチームだからね。』とコメント。
今後
昨季のアラベスへのローン移籍発表と同時に契約を延長したことも発表されており、リバプールとは2025年までの契約を結んでいるとされる。
Defender Anderson Arroyo has joined Spanish club Alaves on a season-long loan deal after extending his current contract. ⤵
— Liverpool FC (@LFC) July 9, 2022
今季をFCアンドラへのシーズンローンで過ごす、即ちリバプールに戻って来るのは2024年夏。
残り契約が1年となり、更に24歳になっていることを考えれば、今季に労動許可の取得が出来なければ来夏に売却される可能性が高いと思うのと、仮にリバプールが残留と新たなローンを望んだとしても本人が売却を要求する可能性もあり得るのではないかと思う。
なお、数年が経ってしまっているため今も同じ気持ちでいてくれるかどうかは不明ながら、2020年時点での本人の夢はリバプールでプレーすること。
リバプールでデビューすることが夢であり、望みであり、ゴールでもある。
だからこそ毎日ベストな方法でやりたいし、全てを捧げて学び続けたい。
そこに到達しなければならないし、そのために全力を尽くす。
将来の目標はリバプールでプレーし、トップチームに定着すること。
契約して以来、ずっと憧れていたことだし、その夢が叶うことを願っている。
(2020年3月のWorld Football Indexのインタビューより)
アランやアウォニィのように労動許可取得のためのローン移籍を繰り返し、最終的にリバプール以外に居場所を見つけた選手も多くいるけれど、難しいローン移籍の繰り返しを経てリバプールで花を咲かせる選手が見たい、苦労した選手がビッグクラブで成り上がっていく様を見たいという気持ちもある。
今季が終わった時にどんな結果になるかを待ちつつ、一先ずはアンデルソン・アローヨの今季が素晴らしいものになりますように。
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