プロキャリアスタートまで
コロンビア北部やベネズエラ北部に居住する先住民族ワユ族の生まれであり、出身地のバランカスは人口の半数以上がワユ族で構成されている。
植民地時代以前、バランカスの街があるラ・グアヒーラ県には多くの先住民族が居住しており、鉱脈などの資源を求めて海を渡ってきたスペインやフランスの探検家たちの支配に対して最も反対したのがワユ族。
但し、コロンビア国内でも貧しい地域にあり、ラ・グアヒーラ県全体で2008年から2013年の間に4,151人の子供が亡くなっており、そのうち278人は栄養失調、2,671人は生後数日から数ヶ月の間にかかった病気が原因、更に1,202人は死産とされる。
また、多くのワユ族の赤ちゃんが出生登録されていないため、この数字は少なく見積もっての数字であるとされている。
ルイス・ディアスも恵まれた環境で過ごしてきたとは言えず、2015年にワユ族がコロンビア史上発の先住民族によるフットボールの大会に参加した際、チリで行われる国際大会に向けた先住民族チームのためのタレント発掘を任されていたコロンビア代表レジェンドのカルロス・バルデラマ氏がコロンビアメディア Revista Semana にて下記のようにコメント。
瘦せこけて、大柄で、明らかに栄養失調の男を見た。
バランキージャで調査を行ったところ、確かに栄養失調の様子が見えたが、我々と一緒にいたときに最もよく食べていたのが彼で、4~5回は食べていた。
それが当時の体質だった。
バランキージャで調査を行ったところ、確かに栄養失調の様子が見えたが、我々と一緒にいたときに最もよく食べていたのが彼で、4~5回は食べていた。
それが当時の体質だった。
しかし、同じくこの大会に参加し、優秀な攻撃的MFと評価されていたルイス・ディアスの親友ダニエル・ボリバル氏は『スポーツのない街では、バルデラマを感動させることがモチベーションになった。』とコメントするなど当時の彼らのモチベーションは高く、実際にバルデラマ氏の前で印象的なプレーを披露した彼らは選抜チーム入りを果たす。
画像:SPORT SPORT より引用
プロキャリアのスタート
親友ダニエル・ボリバル氏はフットボーラーとしてのキャリアを断念したが、ルイス・ディアスはバルデラマの計らいもあってトライアルを経てアトレティコ・ジュニオールに入団。
2016年にアトレティコ・ジュニオールの提携クラブである2部バランキージャで体重を10kg増加させ、2017年にアトレティコ・ジュニオールに復帰すると才能が開花し始めてU-20コロンビア代表に召集され、翌2018年には全コンペティションで59試合16ゴールの成績を残したこともあってコロンビアA代表デビューを果たす。
2019年7月にはポルトと移籍金700万ユーロの5年契約を結び、バルデラマに見出されて4年でヨーロッパへ進出。
当初、ゼニト・サンクトペテルブルクへ移籍する可能性やカーディフ・シティとの事前合意があったものの、同胞ラダメル・ファルカオやハメス・ロオドリゲス、コロンビア代表監督だったカルロス・ケイロス氏の説得もあってポルトを選択。
初年度19/20シーズンは50試合14ゴールの活躍を披露し、翌20/21シーズンはリーグ戦最初の6試合で5ゴールを挙げ、11月のヴィトーリア・ギマランイス戦で決めたゴールは月間最優秀ゴールに選出された。
12月にも4ゴール3アシストの成績を残し、2か月連続で月間最優秀選手に選出されたのを置き土産にしてリバプールへ加入。
実質半年しかプレーしていなかったにも関わらずプリメイラ・リーガ7位となる14ゴールを記録し、シーズン終了後にはリーグ優勝を果たしたポルトからメダルを受け取っている。
ワユ族史上初のコロンビア代表選手
上にも書いた通り恵まれているとは言えない環境。
若者のほとんどが鉱山関連の多国籍企業で働く以外に選択肢がなく、裸足のまま街の通りでプレーする姿をよく見ていた叔父イェルキス氏は『石ころや穴、そしてただの地面でコントロールして走るのは難しい。多くの若者が夢を諦めてきた。』と話す。
そんな中でヨーロッパ随一のビッグクラブでプレーするまでにのし上がった彼は家族にとって誇りであり、遠く離れた街からリバプールのウィングを駆け回る姿を見て興奮している。
スターの多くが太平洋沿岸のアフリカ系移民であるコロンビアスポーツ界において先住民族が代表レベルまでになることは珍しく、ルイス・ディアスはワユ族史上初のコロンビア代表選手である。
南米フットボールを専門とするジャーナリストのサイモン・エドワーズ氏は、不安定な環境から抜け出して成功を収めたことを奇跡と表現。
また、最近では2011年と2015年に旱魃に襲われて作物が成長しないなど変わらず難しい環境ではあるものの、ルイス・ディアスの成功を受けたことでバランカスの自治体が人工芝ピッチの建設に取り組み始めている。
とは言え、水道が使えないことも多いこの街では天然芝の育成は不可能であることが理由と、厳しい状況であることに変わりはない。
周囲の希望
2021年のコパ・アメリカでメッシと並んで得点王となり、帰郷の際に街全体から大歓迎を受けたルイス・ディアスは自身のプレースタイルについて『自分のルーツ、育った場所を示している。』とした。
周囲の関係者も彼の存在や役割を賞賛。
-ワユ族のスポークスマン、ハビエル・ロハス・ウリアナ氏
テレビの電波が届けばどこだって、私たちは誇りを持ち、世界最高のチームのジャージを汗で濡らすだろう。
このタワラ(現地語で兄弟の意)は、恐らくは私たちにとって最も偉大な模範であり、ミドル・グアヒーラやアッパー・グアヒーラ保護区のツアーで最も話題にする人物でもある。
謙虚さ、規律正しさ、粘り強さを備えた彼の努力は、若者たちに夢を与えて戦わせてきた。
彼は壊滅状態にあったその強さ、その精神を復活させている。
この地域には多くの次のルイス・ディアスがいて、彼らは支援と機会に飢えている。
このタワラ(現地語で兄弟の意)は、恐らくは私たちにとって最も偉大な模範であり、ミドル・グアヒーラやアッパー・グアヒーラ保護区のツアーで最も話題にする人物でもある。
謙虚さ、規律正しさ、粘り強さを備えた彼の努力は、若者たちに夢を与えて戦わせてきた。
彼は壊滅状態にあったその強さ、その精神を復活させている。
この地域には多くの次のルイス・ディアスがいて、彼らは支援と機会に飢えている。
-FCラ・グアヒーラのDFデニウソン・プシャイナ
彼をテレビで見て、自分もあそこに行けるのかもしれないと思うと凄くモチベーションが上がる。
多くの人がワユ族や先住民族の文化に注目している。
多くの人がワユ族や先住民族の文化に注目している。
出典・引用
この記事をまとめるにあたり、下記のメディアより情報を引用。
GOAL → Luis Diaz, il ragazzo di etnia Wayuu: dalla malnutrizione alla finale di Champions
Mundo Deportivo → Luis Díaz, de familia wayú a nuevo fichaje del Liverpool
BeSoccer → Luis Diaz: the indigenous star from Colombia's poorest community
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