イギリスメディア FourFourTwo のマガジンに掲載されたプレミアリーグの選手100人を紹介する企画より、ファビーニョに関する部分の和訳です。
リバプールやモナコについてはもちろんですが、かつて所属したリオ・アヴェや急に決まったレアル・マドリーへのローン移籍などについても話をしています。
少しというか、大分長いので休憩しつつ読んでください。
元記事はこちら ⇒ In the mag: 100 best Premier League players... right now! PLUS Robson, Bilic, World Cup play-offs, Mongolia's Simon Cowell, Battle of Bramall Lane and more
当初はクロップのヘビーメタル・フットボールに苦しんだファビーニョだが、今や完璧な守備的MFとなった。
リバプールの象徴的存在である彼は、いかにしてその道を究めたのかを語っている。
有名人のようにケーキで待ち伏せでもされない限り、誕生日プレゼントといえばギフト券やフットボール関連のものか祖母からの£10だろう。
2018年10月23日に25歳の誕生日を迎えたファビーニョがクロップから贈られた誕生日プレゼントは1日遅れだっただけでなく、ヤヤ・トゥレなら激怒していたであろう(※1)、あまりにも抽象的でセレモニー性に欠けるものだった。
彼の誕生日プレゼントは彼をスタメン起用したことではなく、彼が好むダブル・シックス(中盤の底に2人)でプレーしたことだ。
彼はうまくプレーしたね。
4-0で勝利したレッドスター・ベオグラード戦、ファビーニョがマン・オブ・ザ・マッチに輝く活躍を披露した後、リバプールのボスはウィンクした。
その試合から3ヶ月前に£3900万で加入して以降、たった2度目のスタメンだった。
ブラジル代表MFはクロップが好んで使う4-3-3で唯一の守備的MFとして適応するのに苦しんだが、あの引き締まったアンフィールドの夜には彼が印象的な活躍をしていたモナコのスタッド・ルイ・ドゥと同じ4-2-3-1で輝いた。
とてもアグレッシブな彼を見ることができて良かった。全てがそこにあった。
初めての試合…初めての試合ではないが、凄く良かったし凄くアグレッシブだった。
2019年春には、孤高のアンカーマンとして背番号3の変貌が完了。
CL制覇に貢献し、30年ぶりのリーグ優勝の中心を担ったファビーニョを、クロップは『彼のポジションでは世界最高の選手。ギャップを埋めるだけでなくチャレンジャーでもあり、非常に優れた選手だ。』と評した。
20/21シーズンはリバプールのDF陣の危機というバタフライエフェクトによって急造センターバックという役割を強いられたが、クロップにとって中盤で最も効果的なプレッサーとラインを破るパスを出せる選手を失ったことが大きかった。
21/22シーズン、本来のポジションに戻ったブラジル代表MFは相手のプレーを寸断し、前線の3人が喜ぶ舞台を提供する。
そして、まだ多くのタイトルをその目に見据えている。
今季のこれまでを振り返ると、どう感じている?チームが直面した最大の課題は何だろう?
凄くうまくいっていると思う。
CLはノックアウトステージへの出場権を手に入れたし、まだリーグ優勝争いをしている。
またマンチェスター・シティと戦ったけど、彼らは良いフットボールをするし簡単には仕事をさせてくれない。
リバプールはトロフィーを獲得するために臨んでいる訳だから、この観点から見れば我々は成果を上げている。
個人的にも文句はないし、ケガもなく良いプレーができていると思う。
今季は既にリバプール加入以降で最もゴールを挙げたシーズンとなった。どうしてだろう?
確かに!FAカップのシュルーズベリー・タウン戦では2ゴールを決めたよ!
一度ゴールを決めると毎試合決めているような気持ちになって、ペナルティボックスの近くにいてルーズボールが自分の方に転がるのを期待したくなる。
それがゴールを決めたときに得ることができる自信だ。
サラーがエジプト代表としてAFCONに参加している間にPKを蹴るようになったことにも助けられた。
数字を良くしたいなら、役立つよね!モナコではPKキッカーをだったからより多くのゴールを決めていた。
(得点は)自分の仕事ではないけれど、攻撃に関わってゴールを決められるのは嬉しいし、その手伝いができるならハッピーだ。
コロナウイルスによる混乱の中でのプレーはどうだった?
ともに生きるしかないことを学ばされた。
トレーニング場に入るには毎回テストを受けなければいけなかったし、何やかんやで慣れてしまった。
12月に陽性反応が出たとき、既にホテルでニューカッスル戦の準備をしていたんだ。
その後、最初に出場したレスター戦は正直に言うとピッチで少し苦戦したし、ベストな状態ではないことが明らかだった。
1週間自宅でエクササイズバイクだけしかやっていなかったからかもしれない。
チームトレーニングとは比べ物にならない。幸いにもすぐに回復して調子を取り戻すことができた。
リバプールでの生活で気に入っているものは?
難しいな。
妻のレベッカと街中のレストランに行くことを楽しんでいるから、1つだけを挙げることはできないよ。
いつも友人にお勧めを聞いているんだ。
お気に入りはイタリアンだけど、食べ物に関してはいつも様々な料理を試すんだ。
問題は全くないよ(笑)
チームメイトはあなたが中盤をキレイにするから "Hoover(フーヴァー社製掃除機)"、そして "Lighthouse(灯台)"とも呼ぶ。由来は?
知らないよ!説明されたことがないんだ(笑)
ずっとそう呼ばれている訳ではなくて時たま耳にする程度だけど、ピッチでの仕事をチームメイトが評価してくれているのは嬉しい。
クラブ内でこのように評価されることは、正しい道を歩んでいることの証明になる。
常にベストを尽くそうとしているし、守備面で必要なことはカウンターを阻止するために適切なポジションを取ること、ボックス内を守りボールを奪い返してチームメイトに供給すること。
それだけに集中している。
2012年、最初にヨーロッパへ移籍したときの思い出は?ポルトガルのリオ・アヴェと契約したけど、数週間後にはレアル・マドリーへローン移籍することになった。
別の国に行くことは決して簡単なことではない。
初めてヨーロッパに来た時、ルシオ・アラウージョ(デコの兄)としばらく一緒に住んでもらった。
そういった状況では仲間がいるのが良いんだ。
ポルトガルに着いたけど、リオ・アヴェには2週間か3週間しか居なかった。
他のブラジル人選手とバーベキューをしていたら、代理人が『レアル・マドリーのカスティージャが右サイドバック(※2)を探しており、興味があるかを知りたがっていた。』と言うために連絡をしてきた。
一晩したらルシオが来て、『早朝にジョルジュ・メンデスが車で来るから荷物をまとめろ。』と言うんだ。
何かあったの?って感じだったよ。
誰も何も言わなかったけど、ある時メンデスがマドリードに向かうと言った。彼らと契約をすると。
ブラジルにいる母に電話をして伝えたら泣き始めてしまって…こんな短い間にこんな大きなことになるなんて誰も想像していなかった。
とても特別な瞬間だったよ。
マドリードでの初日といえば、何を思い出す?
まずはホテルに向かって、まだ寝ていた時に誰かがドアをノックする音で起きた。
ドアスコープ越しに覗いたら、信じられなかったよ。
メンデスとモウリーニョが居たんだ!
まだパジャマを着ていたし、全く会う準備は出来ていないし何を言ったらいいかも分からない。
俺を出迎えたかったらしいんだ。
まだ人見知りなところがあったし、あんな風に会うとは思っていなかったよ(笑)
右サイドバックとしてキャリアをスタートし、代表にも選ばれた。どうやって守備的MFに行き着いたの?
レオナルド・ジャルディムだね!彼はキャリアで最も重要な監督だった。
モナコでの彼との最初のシーズン(14/15シーズン)に、まだ右サイドバックが主戦場だった俺を中盤に押し上げたんだ。
プレシーズン中に、中盤をやったことがあるかと聞かれたのを覚えている。
あると答えたらプレシーズンマッチで中盤を任されて、その試合のベストプレイヤーとなった。
それから16/17シーズンが始まる前にジャルディムから『聞いてほしい。君のポジションにジブリル・シディベを獲得する。これからは守備的MFとしてプレーしてほしい。』と連絡があったんだ。
どう反応したの?
代表での状況やトップクラスのサイドバックが少ないことを考えて、ネガティブな変更だと思った。
難しいと思った。
誰しもが右サイドバックとして知ってくれていたし、代表でもレギュラーだったけど、代理人やそもそも俺もその状況に納得していなかったのだろう。
俺はそのチャレンジを受け入れた。自分が出来ると分かっていたから。
でも、振り返ってみると、そこが人生の変わり目だったのかもしれない。
ジャルディムはたくさん助けてくれたし、そのシーズンはリーグ・アンのタイトルを獲得したうえにCLで準決勝まで進んだ。
結局はMFとしてリバプールに移籍した訳だし、間違いなく正しい決断だったことが証明された。
現在、世界最高の守備的MFだと言う人もいる。どう感じる?
ブラジルでスタートした時に想像していた以上だけど、そんなに気にしないようにしている。
一番大切なことはチームが望む結果を達成し、その結果をトロフィーに変えることだからね。
最終的には、それが将来的にファンの記憶に残るんだ。
『リバプールがCLを制覇したときを覚えてる?ファビーニョもそのメンバーだったんだよ。』って。
ブラジル代表は圧倒的な戦いでW杯出場権を手に入れた。優勝候補の一角かな?
筆頭ではないけど、もちろん候補の中にはいるよ。
フランスには素晴らしい層の厚さがあるし、イングランドには昨年のユーロの決勝に到達した素晴らしい世代が揃っている、出場権を得ることができればだけどイタリアも良いフットボールをする。
でも、もしも1つの国を選ばないといけないならフランスを選ぶよ。
マンチェスター・シティを追いかけるのはどんな感じだろう?次の対戦はどれくらい楽しみ?
試合ごとに準備しなくてはいけない。選手数人がAFCONに参加しているときでさえ、我々は好調を維持してきた。
マン・シティとの試合は4月だし、今は他のことを気にしている余裕はないよ。
それまでは両チームとも勝ち点を落とす可能性があるし、マン・シティとの試合までに順位表の差を縮めたい。
1月に獲得したルイス・ディアスの印象は?
素晴らしい攻撃のクオリティを持つ選択肢の1つだ。
CLのグループステージで2回対戦したけど、ポルトの選手の中で我々を最も苦しめたのは彼だった。
アンフィールドでの彼のパフォーマンスを覚えている。
あの日、ポルトはボールを奪ってカウンターを仕掛ける度に彼に渡して、何かリバプールにとって危険なことをしてくれるのではと期待していた。
凄まじい才能の持ち主であることは間違いないよ。
リバプールと2026年までの契約を結んでいる。その時は32歳。リバプールで引退することも考えられる?
リバプールは特別な場所だ。
フットボールをするのにここ以上に良い場所なんてないし、完全にリバプールに集中している。
この先の4年で状況がどうなるか分からないけど、今はリバプールのことだけを考えている。
凄く幸せだし、他のチームや他の国に行こうなんて考えていない。
特別なクラブだ。何より重要なのは全てのトロフィー獲得のために戦えること。
自分のキャリアに望むことは、できるだけ競争力の高いチームに所属して、できるだけ多くの勝利を収めること。
そのために最高の場所、それがリバプールだ。
【備考】
(※1)当時所属していたシティで誕生日が祝われず、それを不満に思って退団かとの報道が数年前にあった。
(※2)キャリアをスタートさせた時は右サイドバック。
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