エストニア1部メスタリリーガのパイデ・リナメースコンドでプレーし、エストニア代表としては2022年8月時点で歴代4位となる129試合に出場している同国のレジェンドの1人であるラグナル・クラヴァン。
リバプールには2016年7月にアウクスブルクからエストニア人選手の移籍金として史上最高額である€500万で加入。
2018年1月のバーンリー戦の後半アディショナタイムに決勝点となるヘディングを決め、プレミアリーグでゴールを決めた史上初のエストニア人選手となった。
そんなクラヴァンは、現役のフットボーラーであると同時にフットボールクラブの会長でもある。
ラグナル・クラヴァン会長
実はクラヴァン、2016年5月2日にJKタリナ・カレフの会長に就任。
JKタリナ・カレフとは首都タリンに本拠地を置くエストニア最古のクラブで、1909年にメテオラという名称で創設されたのちに1911年にエストニアン ・スポーツ・アソシエーション・カレフに参加したことを切っ掛けとして現在の名称に変更。
1920年代から1950年代にかけてエストニアやソヴィエト連邦(第二次世界大戦中、エストニアはソ連に併合されていた)のリーグを3回制覇しているが1960年代に入ると低迷。
2002年に再編されてエストニアリーグに参加すると5部Ⅲリーガから順調に昇格を続け、2006年には2部エシリーガを制覇して1部メスタリリーガに昇格すると、数度の昇降格を繰り返しつつ現在もメスタリリーガに所属。
そんな古豪の会長職に就くにあたり、クラヴァンは引退後もフットボールに関わり続けて若手育成に注力すると約束。
選手生活を終えた後もフットボールを続けることを決意している。
タリナ・カレフの運営は大きなチャレンジ。特に関心があるのはユース世代で、競技志向の強いチームでサポートしたい。
カレフには歴史と伝統があり、ここで活動する機会を得たことを光栄に思う。
私の父は5年間、カレフのヴィリャンディ地区委員会の委員長を務めたことがあり、その経験は必ず活かすつもりだ。
(2016年5月2日付、エストニア国営メディアERRより)
相棒
会長に就任した2016年5月、クラヴァンはアウクスブルクに所属していたことやイングランドへの移籍を模索(同年7月にリバプールへ)していたこともあり、頻繁にエストニアを訪れることはできず。
そんなクラヴァンは、同じくエストニア代表で活躍したヨエル・リンドペレを相棒とし、クラヴァンが会長、リンドペレがスポーツダイレクターに就任。
イングランドへの移籍は夢だと話してきたが、実現するかどうか答えるのは難しい。
アウクスブルクの監督やコーチたちもこの願いを知ってくれているし、その時が来れば互いに握手して…ということも分かってくれていた。
若いエストニア人選手がブンデスリーガや更に良いリーグでプレーする姿を見たい。
ドイツやオランダの若手が辿り着くのは簡単だが、エストニアに居る場合はもっと特別なトレーニングが必要であり、今回の会長就任は若手を導いて経験を積ませることが理由の1つでもある。
現時点で最優先は自分のプロキャリアだけど、幸いなことにとても経験豊富なパートナーを見つけた。
ヨエル・リンドペレは現役キャリアを終えていて、タリナ・カリフに残る。
(2016年5月21日付、エストニア国営メディアERRより)
会長としての仕事
とはいえ、スポンサー契約などの重要な場面には参加しており、会長らしい一面も。
更に若手の指導や育成に注力すると語っていた通り、2019年には当時所属していたカリアリとの協力によってJKタリナ・カレフの若手をキャンプに参加させた。
カリアリのキャンプに参加したのはトリスタン・トマシュ・ティーヴァリ(当時16歳)、ダニル・ソチュゴフ(当時16歳)、マルティン・ヴェトカル(当時15歳)、ラモル・シラマー(当時14歳)。
クラヴァンやリンドペレは若手選手たちが良いプレーを見せればカリアリが関心を示すかもしれないが、正式なトライアルではなくあくまでもお試しである、カリアリはカレフにとって完璧なステップであると話した。
当時のカリアリは若手の発掘やエストニア市場の開拓などの面からも強く興味を示していたとされる。
※この件について報じたエストニアメディアsoccernetは"カリアリとカレフの協力関係が始まった"としているが、クラヴァンは2021年夏にカリアリを退団しているため現在もこの協力関係があるのかは不明。
2クラブ間での立ち位置
同じ国、それも同じ1部リーグに所属するパイデ・リナメースコンドの選手であり、JKタリナ・カレフの会長でもあるクラヴァン。
利害関係がある2つのクラブに所属することから、勝ち点の操作など様々な工作や陰謀が可能だと勘繰る人がいるようで。
私はキャリアを通して常にプロの選手であり、パイデが目標を達成できるよう最善を尽くす。
何かしらの陰謀論を思いつきたいなら、それは誰だってできる。
私は常にパイデの選手であり、それが最も重要なことだ。
もちろんカレフも重要だが、現時点で私の貢献度は低い。
また、2020年に降格するも2021年に再昇格を果たしたことで方針が変わることはないともコメント。
私たちの哲学は変わらない。
トップリーグにいた2020年シーズンと同じように若手に投資をする。
降格した2020年シーズンは若手を積極的に起用したこともあってチーム自体の成績は伸びなかったものの、同年8月にはカリアリのトレーニングに参加したうちの1人であるマルティン・ヴェトカルがローマと契約。
クラヴァンは現時点までに若手の指導や育成に注力し、積極的に起用し続けたことは正しかったと考えているようで
若手がトップリーグで大きく成長する様子を見た。
プレミアリーグ以上にね。
彼らの成長を助け、鼓舞するのが我々の仕事だろう。
(上記の3コメントすべて2022年2月4日付、エストニアメディアsoccernetより)
としている。
にほんブログ村
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿